MOTORCYCLE DIARY

のがたひろおのバイクな日記

心にガンマを持つ人

ハヤブサの方々からは何故ガンマ?と思われていますが、実はこういうことなんです。


1990年代のクラブマン誌の記事より

そういえばあの4気筒ガンマは
いったいどこで息を潜めているのだろう。
ああ~ガンマはいずこへ。

 エンスーなライダーからよく聞かされる話で、一つのバイクのことを好きになったり、嫌いになったりして手放してみたかと思えばまたすぐに買い戻したり、という一種の愛憎物語的パターンがある。
 先日取材した2スト4気筒400Γのオーナー氏は、まさにそれだった。
 父親の仕事の関係で米国西海岸で育ったC君、日本の大学に進学したものの、卒業後6年間ほど日系企業のロス支店で働いていた。
 バイク好き、カスタム好きの彼はカリフォルニアでGSX-R750に乗っていた。GSX-Rが速いバイクだったからC君は乗っていたのだが、バハカリフォルニアまでのツーリングから帰ってくる途中、C君の頭の隅に2ストがほしい!という思いがムクムク湧き上がり始めてきた。
 C君は3年前、日本に帰国したが、帰国するJAL機内でスチュワーデスの制服をみて、半立ちになりながらひらめいたのは「ウォルターウルフカラー('84~'86年の間、全日本ロード500ccクラスを走った水谷勝選手のcミームカラー)のガンマ400!」であった。
 半立ちの思いで2週間後、彼は上野の中古車屋に向かった。するとどうだろう。ガンマ400は店の奥でピカピカに磨かれ、C君を待っていてくれたではありませんか。怪しく笑う呼び込みの男は、低いダミ声で「ガンマかい、安くしとくヨォ」と誘う。もちろんC君が「◎買う」の方にカーソルを進めたのは言うまでもない。日本円に替え忘れたドル紙幣の入った財布を取り出し、契約書にサインをした。
 遂に手に入れた2ストローク4気筒は予想以上に速かった。なにしろカリフォルニアで乗っていたGSX-Rよりも速い。加速に目がついていかないほど速いのだ。
 C君はそのガンマを早速カスタムし始めたのだが、アメリカ生活が長かったせいか足周り、特にタイヤは出来る限り太くした。すると、それまではアクセルを開けるとハンドルがブルブルと震えていたのだが、それは収まりコーナリングもスムーズにクリア出来るようになった。
 そのころ青少年の間では首都高バトルが流行り出していたが、C君はそういう流行に「帰国したばかりだから・・・」(本人談)加わることもせず、一人、峠や深夜のハイスピードライディングを楽しんでいた。
 新しい会社に入って仕事にも慣れた頃、C君はガンマの車検が切れて乗らなくなってしまう。ガンマは速かったが、ハンドリングは悪いし、オイルは食うし、ガス代はかさむし、悪いところばかりに目がいくようになっていたことも確かだった。そしてC君はカリフォルニアを懐かしむようにGSX-Rを再び購入。
 しかし、一たびガンマの悪っぽさを体験してしまった彼が、2ストローク4気筒のことを忘れられる訳がない。アクセルを全開にした時の白煙をバックミラーで見た瞬間、身震いするほどの快感を覚えてしまう彼は、2ストロークジャンキーになってしまった自分を自覚する。
 実際、GSX-Rに乗っていると交通の流れに乗って走れるのに、ガンマに乗ると右手が言うことを聞かなくなる。28歳にもなった彼は、人並みに自分の命を心配するようになったが、ガンマに乗ると、彼は16歳のガキとまったく同じだ。
 でもそれではいいわけがない、ガンマを降りないと社会復帰できないかもしれないという不安感を持つ彼は、また今新しい悩みをかかえている。
 どうしてもガンマを譲って欲しいいう人が現れたのである。
 「ああこれでヤメられる」と思いながらも、何かすっきりしない。もうガンマに乗れなくなるかもしれないと思うと、心が痛む。
 このように好きなんだけどイヤ、イヤだけど好き、でもヤメてしまいたいというような悩みはもしかしたら恋愛以上のものがあるかもしれない。
 これを一般大衆のレベルに変換すると、近郊都市の農家の息子が、庭に建てられたプレハブでするアンパンを今日こそヤメタイと思うに似ていなくもないし、55歳のオバサンが22歳のホストに入れ込むのにも近い。
 しかし中学生が明日はテストだからといって自家発電を中止するのとはワケが違う。
 ともかくそういうように、バイクに対してイヤになったり好きになったりするというのは、C君にとってガンマが、単に上野で買った中古のバイクではなく、ガンマの形をした自分、つまりガンマは自分の身体の一部であるからなのですね。
 そういう意味では心の中にガンマを持つ人は、幸福なエンスージアストなのである。



はい、取材を受けたC君とはぼくのことです。

ちなみにその時の上野で買った中古車がコレです。

400ガンマ

その後も愛憎物語は続き、今度は500ガンマを手に入れました。
それがコレです。

500ガンマ

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コメント

自分の中ではガンマと言えばシュワンツで、89年8耐のGSX-Rもドツボです。資金的に余裕があればV-Γに。もう一度乗りたいです。

  • 2010/01/29(金) 12:31:09 |
  • URL |
  • nyanbusa #-
  • [ 編集]

nyanbusaさん

シュワンツと言えばぼくはAMAスーパーバイクの頃のシュワンツです。
同じバイクとは思えない走りに驚きました。

  • 2010/01/29(金) 13:03:22 |
  • URL |
  • のがたひろお #-
  • [ 編集]

クラブマン、いつの間にか廃刊してたんですよね...知ったときショックでした。

ノガタさんの記事、たぶん生で読んでそうな私です。

  • 2010/01/30(土) 15:27:45 |
  • URL |
  • KUWA #-
  • [ 編集]

KUWAさん

え、廃刊になっちゃったんですか?
わりと最近までありましたよね?

  • 2010/01/30(土) 15:47:12 |
  • URL |
  • のがたひろお #-
  • [ 編集]

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